2013/03/30

「人をつくる」ということ

学生として同期(人生では大先輩)の方と、ある集まりでご一緒した。
学校を卒業後、今度はご自身が学校事業に関わられるという事で、その準備や勉強のために半年この場を離れられるという事だった。

その方や他の人達と、学校で一緒に学ぶ中で強く感じる様になったのは、教育は知識を詰め込むだけではなく、人の考え方や価値観にまで及んで大きな影響を与えるため、それはもう「人をつくる」という、えらく大変なことなんだよな、ということだった。
私は、仕事としてモノ作りをやっていて、それも大変なんだと言いたいところだが、一人一人性質の違う対象が、自分の意志を持って動いているのを相手にしなければならないのだから、本気で取り組めば取り組むほど、考えるだに恐ろしいぐらいの大変さだと思う。

大学の時の恩師が、宮大工の西岡常一さんの「木のいのち木のこころ」という本を読めとも言わずに置いて行ったのを今思い出すと、きっと、本の中の、材木の一本一本はそれぞれ曲がり方が違っていて、それに合わせたやり方をしていかなければ上手く行かないという話は、人にも当てはまるんだよという事を先生は言いたかったんだろう。
当時(今もだが)かなり曲がった人間であった私に対して先生がどう接しているか、これから他の人に私がどう接していけば良いかを教えようとしていた事を、今なら素直に理解することが出来る。他にも自分じゃ気が付かないだけで、知らずに大切な事を教えてもらっていると思うけど、多分、私相手じゃ先生も大変だっただろうなあ・・・。

一方で、大変ではあるけれど、その方なら、きっと上手くやってのけるに違いないと思う。
集まりの席では、業界としての教育の話も出ていて、それは地方にとっては明るい話ばかりでなかったのも事実だけれど、その方が、数字を見る事と自分が再度学んで変わっていく体験の両方を持っている事、その学校が提供する学びの内容がこれからの時代に合った物だという事は強みになる。

この話を聞いた時に感じたのは、間違いなく同期の今後の中で、一番おもしろそうだという感覚だった。それは、「人をつくる」という事に価値を置き始めた自分が、ワクワクすることだったからかも知れないと思う。
上手く行けば、これから自分たちと同じような良い体験をして成長していく人間が増えていくことになるから、今から来年、再来年が楽しみだったりする。
私自身は、ちゃんと成長できているか良く分からないし、教育について少しでも書いて良い人間かどうかは分からない。自分の体験から今はこの様な風に感じているが、きっとまた先生達の言った「何か」が理解できた時に、変わっていくのかも知れないと思う。

願わくば、その方の新しい道が、上手く行きますように。

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